Little AngelPretty devil
           〜ルイヒル年の差パラレル

    “七夕もいろいろ”
 


ここ数年、から梅雨という言葉を死語にしたいかと思うほど、
とんでもないほど降りまくりの六月七月という日本列島ですが、
昨年は台風が早めに来たのが梅雨前線を刺激してのご乱行で始まり、
今年は偏西風の蛇行により、
上空にやたらと北方の冷たい空気が降りて来たがため、
上昇気流、強いては入道雲が出来やすい環境になりやすかったから、
特に関東地方で ガンガンと大雨になるわ雷は落ちるわだったそうですね。

 「一応、パターンは違うのか。」
 「でも、だったら どっちも梅雨の雨じゃないんでしょ?」
 「いっそ“雨季”で良いんじゃねぇか、これからは。」

クラブハウスの入り口に、
誰が持って来たのか結構良い枝振りの笹が立てられていて。
切り紙細工やキュウリやスイカといったお飾りが提げられてもおり、
だったら短冊も提げにゃあなと、
大きめの折り紙を用意して、長四角に切り分けていたのが
メグさんを初めとする女子マネの皆さんで。
そこへまだ授業があるのでと遅れてやって来た妖一くんが加わり、
そんな軍曹殿を迎えに行ってた葉柱が、
バイクを駐車場に停めてから加わりしたところへ、

 「あー、笹かざりだ〜vv」

それは幼いお声が加わる。
いやまあ、妖一くんだってお声はまだ幼かったのですけれど。
それにしては言うことが子供離れしていて、
先程の会話でも
最後の“雨季でいいんじゃね”と言ったのが彼だったほど。
それに比すればいかにも小学生という、
屈託のないお声でありお喋りをしてくれる、

 「おや、セナ坊じゃないよ。」

メグさんに先を越されました、
王城シルバーナイツのマスコットさん、
小早川瀬那くんがひょっこりと顔を出した模様。
というのも、

 「合宿前の調整ゲーム、受けてくださるそうだとお聞きしたもんで。」

セナくんを迎えに来がてら、先に賊学を回ってこうよと段取りした、

 「桜庭、そういう仕事もすんのか、ワイドレシーバなのに。」

ああう、またしても今度は蛭魔くんに先を越された。
王城のれっきとしたレギュラー選手でありながら、
セナくんをマイカーで迎えに来たらしい、
アイドルボウラーの桜庭春人さん。

 「だって、こうまで近くに居合わせたんなら ねえ。」

ついでとは言わない。
でも、そんなもんだろというのは判るし、
やや揮発性が高い顔触れが多いチームだが、
それが無礼だといちいち癇に障るよな間柄でもない。
賊学といえばバイク乗り上がりの恐持てがいっぱいというチームだが、
腹を割って話せば、葉柱以下、気のいい人ばかりだし。
桜庭の側も、
タレントとして全国レベルの有名人ではあれ、
気取らぬ性格で、しかも頑張り屋さんだというの、
皆さん良ぉく知っているので。
多少は気安さが過ぎる言動が出ても問題ない間柄。

 「正式な日取りとか打ち合わせ自体は、
  うちの主務が連絡すると思うのですが、
  ゲームを受けてくださったのは本当にありがたくて。」

 「だろうよなぁ。」

笹の葉へ…どうやって切ったらそんな形になるものか、
風神雷神をセットにした、やや立体的な像を提げていた妖一くん、
意味深な言いようをしたのが、その場にいた大人たちに苦笑を誘う。
高校最強の名をほしいままにした進を擁し、
他の選手らも生え抜きにして粒よりの
王城スターズが集結している今現在のシルバーナイツは、
あまりに完成し過ぎているせいか、
単なる練習でも何となく警戒されているようで。
編成が固まって来た辺りならともかく、
春のシーズンを終え、これから修正だというよな時期には
あんまり当たりたくはないらしい。

 「でも、二軍や三軍もいるのに、何でまた外部とやりてぇんだ?」

相手に不足はなかろうに、
そこが妖一くんには不思議ならしいが、

 「遠慮が挟まるかも知れん、
  あるいは手の内 判り過ぎてて
  新しいのもが拾えないかも知れん、ではな。」

葉柱がぼそりと付け足したのが正解だったか、
桜庭やメグさんがうんうんと頷いた。
数値では図り知れぬもの、理屈ではないことが、
でも、確かにあるのだと、大人組の皆様には判るらしく。
その訳知り顔が何とはなく
ムッとしたらしい子悪魔様、

 「あのな…っ。」

何か言いかけたそのときだ。

 「あいたいー気持ぉちが、ままぁなーらーぬー、
  北国の町はー、果てなーくとおぉおいー♪」

 「………ちょっと色々訊いていいか、せなちび。」

  2000年代育ちにはついて来れないネタかも知れません。(大笑)

笹かざりを楽しそうに眺めていた小さなセナくん。
オリーブ色のブラウスも可愛らしく、
少しぶかっとした短パンが可愛らしい坊やには、
アメフトの練習試合の段取りの話より
笹飾りのほうが関心大ありだったのらしく。
願いごとの短冊の色々に
きゃはと無邪気に微笑っていたそのまま、
いきなり口ずさんだのがそんな歌。
だが、

 「そんな古い歌、何で知ってんだ、お前。」

 「えー?」

確か 鶴岡何とかいうおじさんがギターをつま弾いてたユニットの代表作、
ムード歌謡と呼ばれるジャンルの有名な歌ではあるが、

 「昭和の名曲だぞ、それ。」
 「知ってるヨウちゃんも どうだかだけど。」

余計な茶々を入れた桜庭が、キイッと睨まれたそのタイミングへ、

 「だって、七夕のお歌なんでしょう?」

  「はい?」 × @

会いたい人がいるけど遠くに離れ離れでっていうお歌で、

 「進さんが、七夕の織姫と彦星みたいだろうって。」
 「進が…。」
 「うんっ。歌ってくれたのvv」

あのね、アニメのお歌もいっぱい一緒に歌うけど、
セナの知らないお歌も知ってるんだってゆって、

 「セナが覚えるまでって何回も歌ってくれたのぉ〜vv」

 「お前んトコのラインバックは、昭和の歌姫か。」
 「いやあの、ボクも今初めて聞いた話だし。」

やさしいでしょお〜っと嬉しそうな坊やを置き去りに、
桜庭さんへと詰め寄る蛭魔くんだったのも、
まま無理はないかもですけれど。

 “俺も、親父に連れられてった会合とかで
  ああいう歌はいっぱい聞いたけど。”

進の場合は何処で吸収したんだろうかと、
練習の鬼が懐メロと接点あるのが
何とも不思議だったりした葉柱さんだったとか。
そして、

 あのね、七夕の次の次の日は進さんのお誕生日でね、
 だからセナも練習して、一緒に歌うんだよ、と

それは可愛いお話を紡いでいる坊やですが。
破壊力あり過ぎるので、

 “王城に帰ってからは話さないように言っといた方が良いかなぁ。”

複雑な桜庭さんだったりしたそうです。


  
HAPPY BIRTHDAY!

   TO SEIJYUUROU SHIN!





   〜Fine〜  14.07.06.


  *妖怪ウォッチとか歌うのかな、進さんも。(笑)


めーるふぉーむvv
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